LIVIN' IN PARIS

BG-03 #4

date: 2020.11.24 category: ANONYMOUS author:

先週は使われている表地の話をしたので本日は裏地(とポケット)の話を。

表地は牛革(ステアハイド)で、裏地にはマイクロスウェードを使用しています。

「マイクロスウェードって何?」という方もいるかもしれません。

スウェードという名前が付いていますが、天然皮革ではなくマイクロファイバーで作られた合成皮革の素材です。

起毛させてスウェード調にしているのでまるで本革のような風合いです。

 

さて、作りにこだわるAnonymousのプロダクトであれば裏地も天然皮革を使用するべきでは?

確かに天然皮革の裏地の方が拘っているという特別感もありますし、多くを語れそうです。

ただ、今回のバッグのテーマ(というか僕が日常に使うもの全般に言えるかもしれません)が「気負わず毎日使いたくなるバッグ」ですので、あまり値段が高くなりすぎるのは避けたい気持ちがありました。

そして機能面で考えても、摩擦などで色移りする可能性がある天然皮革よりもバッグの裏地には適していると言えます。

あまりないかもしれませんが、白シャツをバッグに入れても色移りしないので安心です。

This may not be a very common situation, but you can put a white shirt in your bag and it won’t transfer the color.

 

実はサンプル作成後のテストで裏地の色を変えようか迷った事がありました。

黒いマイクロスウェードなのでホコリが結構目立つんですよね。

そして黒い裏地だと中に入れた物を見つけづらいというデメリットもあります。

素材を綿やナイロン素材に変更したり、色を黒以外のものに変更するプランも出ましたが、「袋」らしさが失われたり(ちゃんとしたバッグのようになってしまう)、デザインに主張が出てしまうという点を考慮した結果、サンプル通りの素材で生産する事に決まりました。

ホコリが目立つと言っても、この写真くらいのレベルですから普通は気にならないと思いますし、中身が見つけにくいと言っても 、そこまで大きな容量のバッグではないのでこれもやはり問題ないかと思います。

いずれの懸念点もベストな商品を作る為のものですからかなり厳し目に見ているのですが、全体のバランスを優先させる方が完成度の高さに繋がると判断しました。

 

ポケットの形状はBG-01と共通ですが、マイクロスウェードは滑りにくい素材の為、物の出し入れがしやすいように小さい方のポケットの幅を少しだけ広げています。

この小さい方のポケットには名刺入れやペン、そして意外と便利だと感じるのがサングラスがちょうど良く納まるところです。

大きい方のポケットにはiPadやKindleを。

内ポケットは吊り下がる形で付いているので、iPadを入れてバッグを地面に置いた際にも直接衝撃が伝わらないようになっています。

クッションなどが付いている訳ではないので過信は禁物ですが、普段使いで重宝するディテールです。

バッグは洋服と比べても機能を盛り込みやすいアイテムですが、用途によってのバランスが最も大切だと思っています。

BG-03の場合は、普段使いでどこに何を入れたか分からなくなるほどのポケットは必要ないし、かと言ってポケットがないのも不便だし、というバランスで作られています。

 

シンプルだけど必要十分な機能を持ったバッグ。

『毎日使いたくなる“レザー”トートバッグ』です。

Seki

 

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PROFILE

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関 隼平 / JUMPEI SEKI


FASHION IMPROVER

1979年東京生まれ。2008年に1LDKの立ち上げに参加し、全店舗のバイイング、マネージメントを行う。2015年からはパリ店勤務となり2016年に独立。Fashion Improverとして様々なショップ、ブランドの価値を高める仕事をパリにてスタートさせる。
instagram.com/sekijumpei/
sekijumpei@gmail.com

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岡本 真実 / MAMI OKAMOTO


EDITER / WRITER

東京生まれ。大学卒業後、いくつかのメンズ、レディスファッション誌のエディターを経て、2015年6月よりパリ在住。現在、フリーランスの編集者として活動中。
mamio.kamot@gmail.com

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