パリは地下鉄とバスがものすごく便利だけれど 自転車人口はけっこう多いように思う。
石畳は多いし、自転車専用レーンも少ないし、一方通行も多いし、
自転車にとって、決して走りやすい環境ではなさそうだけれど、
みんな、デコボコの車道も、渋滞の車の隙間も、びゅんびゅん飛ばす。
そのせいか、街には、怪我をしている人が明らかに多い。
街に無造作に停めてある自転車は、大概ものすごく古そうで 10年選手はザラ、
ひょっとしたら20年選手のものもありそう。
「パリの人は古いものを大切にする」と言うけれど、 古着屋よりも、蚤の市よりも、
こっちのほうがリアルにそのことを実感できる気がする。
経年変化で明らかに魅力を増していて、すごくかっこいい。
手入れされた、味わいあるヴィンテージの車体に、
日本ではあまり見かけないパーツやアクセサリー、バッグ。
そして、風を切るブロンドの長い髪、颯爽とペダルを漕ぐ長い足……
いまの自分には手に入れられないものばかりで、ものすごく憧れる。
ブロンドと長い足は無理だけど、いつか自転車くらいは手に入れたい。
ところで、我が家から徒歩2分のカフェ「Fragment」に行くと、
自転車欲しい欲が加速する。
店の前に停まっているスタッフの自転車がかっこいいというのが理由。
コーヒーもパリでいちばん美味しい。
もちろん、パリジャンたちからも一目置かれているカフェで
自転車とコーヒー好きにおすすめしたい場所だ。
オーナーのYoussefは親日家で、お店に行くと片言の日本語で
「ゲンキ?」とか 「アリガトー」とか「ゴチソウサマー」とか言ってくれる。
よい気分で一日を過ごせる、自分にとって大切な場所なんである。
「Fragments」
76 Rue des Tournelles, 75003 Paris