約1ヶ月半の間、日本に行っていました。
家族は田舎で夏休み、僕は今までお世話になっていた方々へのご挨拶が目的で帰国していました。
2008年に立ち上げた1LDKには8年間携わりましたから、その間に出会った方は本当に多く、その全員にご挨拶する事は出来ませんでしたが、今回たくさんの方にお会いできたのは本当に嬉しかったです。
そしてParisに久しぶりに戻ってきて感じるのは、「すごく落ち着く」という事です。
生まれ育った東京は全てが揃っていて、特に僕が大好きなファッションの分野では世界最高レベルのショップやブランドが多くあります。
一方、まだたった一年しか住んでいないParisは言葉も満足に通じず、不便な事も多いのですが、何だかこちらの方が楽しく過ごせています。
多くの日本のファッションの方々と違い、Parisに対して特別な思いがあった訳でもなく、たまたま買い付けで良く行っていた街で、たまたま出店の話があった、という事で仕事をするようになったのですが、なぜかとても居心地が良いです。
僕は10代20代の頃には海外にあまり目を向けていませんでした。
ファッションで活躍している方の中には、若い頃に海外留学経験がある方もいて、それに対してのアンチ的な思いもあったのかもしれません。
そんな僕でも30代の中盤で海外での生活を始められる訳ですから、人生はどうなるか分かりません。
今回日本に帰って、いろいろな方とお話しするうちに、このブログでもっと自分の事を書いていっても良いのかな、と思いました。
まず、僕はフランス語が話せません。
アルファベットも全部発音できないですし、数字も10くらいまでしか数えられません。
今日も行った薬局で言われた値段を理解するのに20秒くらいかかりました。(しかも実際はカードで支払っているので機械に表示されるのを見て理解しました)
そして、「じゃあどうやって仕事してるの?」という質問がくるので、「英語でやっている」と答えるのですが、それで皆さんがイメージするほど、英語もできません。
ただ、海外に出るのが遅いという事は、日本での経験を長く積めている訳ですから、そういった視点で見てみると、自分にできる仕事はありそうです。
(もちろん英語は出来た方が良いのでしょうが・・・)
僕がParisに来るきっかけを作ってくれた、jardin du I’llonyの谷口さんとはよく「言葉より大事な物があるよね」と、フランス語ができない言い訳をお互い話しています。
これは半分冗談ですが半分は本当で、もちろん言葉は大事なんですが、こんなにテクノロジーが発展している訳ですから、翻訳アプリなど使うことによって、いくらかはコミュニケーションのサポートになると思います。
その分、自分の得意な事で勝負しやすくなっているのかな、と感じます。
逆に勝負する技術や経験がないと、いくら言葉ができても難しいのではないか、とフランス語が出来ないくせに偉そうに思ってしまうのです。
とは言え、言葉ができないと役所の手続きやアパートを借りたりと生活に関する基本的な事は何も進みません。
ただ、そこはParisで出会った心優しい友人達が助けてくれています。
こちらでは僕はただのよく分からない外国人の一人ですから、何も格好付ける必要はなく、誰かに助けてもらえば良いと思っています。
これを甘えと考える事もできますが、その分僕が彼らの助けになる事はいくらでもあります。
僕は少し長く仕事をして経験を積んでいくうちに、このような事が自然にできなくなってしまっていたと、こちらに来てから気付きました。
40代を前に今までの考え方をリセットできる、これが僕にとって「居心地の良さ」の一番の理由かもしれません。
長くなってしまったので、今日はこの辺で終わります。
これから僕なりの「居心地の良さ」や生活についても書いていきます。
(もちろんParisの店や服についても・・・)
Seki