常々、「普通の服が好き」と申している訳ですが、もちろん何でも良いわけではない。
同じ白いシャツを取っても、どれがアリで、どれがナシか。
それを言葉に言い表すのはとても難しいので、自分の好きなファッションを振り返ってみます。
とは言っても、ファッションに目覚めたきっかけ、などから書き始めると長くなりそうなので一番最近、つまり「今の自分のスタイル」を作ったきっかけについてだけ書こうと思います。
今から10年ほど前、中目黒の新しいショップのオープンに合わせて、とある会社に入社しました。
そこでは「ベーシック」や「スタンダード」を今までとは違った角度から提案し、新しいメンズファッションの流れを作りました。
セレクトショップというものは運営していくうちに取り扱いブランドが入れ替わっていく、のはよくある事なのですが、オープン時の3つのブランドの存在が今の自分のスタイルを作るきっかけになったのだなと思っています。
その3つのブランドとは
ADAM KIMMEL
FRANK LEDER
MICHAEL TAPIA
です。
I would say these 3 brands influenced me a lot 10 years ago, and made my style now.
ADAM KIMMELは今でこそ一般的になった、テーラードやミリタリー、ワークウェアをストリートのムードで着こなす、というスタイルを提案していました。
メンズウェアに置ける定番的なアイテムを上質な素材や仕立てで作るという手法は、それまでにない新しいストリートスタイルの流れを作ったと思います。
LOOK BOOKのインパクトも強烈で、ADAM KIMMELの周囲の友人たち(著名な現代アーティストや俳優など)が着こなす普通のようで普通でない写真に夢中になりました。
彼が提案していたムード(空気感)は、おそらく今活躍している様々なブランドが最も重要視している点ではないかと思います。
次にFRANK LEDERですが、彼はドイツの古くからあるカルチャーを下敷きに、古いドイツの生地(それはデッドストックだったり、伝統的に今でも作られているものだったり)を使い、縫製や仕上げもドイツで行われているコレクションを展開しています。
ドイツ人のデザイナーは珍しくありませんが、MADE IN GERMANYの服というのはとても珍しいと思います。
こちらも作られるアイテムは極めてベーシック、まるでビンテージウェアのような佇まいです。
僕がとても印象に残っているデザイナーの言葉があり、それは
「店頭に並んだ(彼の作った)服は80%の完成度で、それを顧客が購入し、着込んで、洗って、補修したりしながら愛着を持って付き合っていくと100%に完成する」
というものです。
つまりビンテージウェアになる前提で作られた服で、永く愛用すればするほど、魅力が増していくという考えで、これには深く共感しました。
余談ですが、僕が10代の頃に初めて勤めたショップで、買ってしばらく経ったジャケットのボタンが取れたのに文句を言っていた僕を見て、当時の店長が
「取れたボタンを自分で付け直してからは(もっと愛着が湧いて)本当に自分のものになったって思えるよ」
と言われ、それがずっと頭に残っていたので、その10年後にFRANK LEDERのコンセプトを聞いた時にも自然と納得がいったのを覚えています。
さて、MICHAEL TAPIAにいきたいところですが、久しぶりに長い文章を書いたのもあり、まとまりがなくなりそうなので、一旦お休みして明日また書きます。
Seki