前回の投稿で書いた「あるもの」
それは「ロックミシン」です。
「ロックミシン」というと、簡易的な作りの代表、みたいに思われる節があります。
(特にメンズ業界だと)
僕も今まではできれば避けてきた仕様の一つで、S Hのシャツでも使わなければ縫えない箇所は共生地をテープ状にカットしてパイピング始末をして隠していました。
ロックミシンを使っているシャツが、なんとなく嫌だったのです。
ただ、それってやっぱり「なんとなく」の域を出ていなくて、明確な理由は特にありませんでした。
今回の元ネタになった60年代のアメリカのシャツには「ロックミシン」が使われていたのですが、そこに嫌な感じはなく、むしろシャツ全体の雰囲気は他にない魅力があって好きだなって思っていたのですが、それが「ロックミシン」のおかげ、とは当初は思わず・・・
ということは、必ずしも簡易的に仕上げることが目的ではなく、「ロックミシン」を使わなければ縫えない場合もあるという事です。
今回のSH-01のコンセプトは「丸いシャツ」です。
The concept of SH-01 from anonymous this time is “round shirt”.
別に見頃が丸いとかという意味ではなく、全体の雰囲気から丸さを感じられるようにしたかったのです。
その一つが袖の付け方にあります。
通常のシャツの作り方だと折り伏せ縫いという方法で縫製します。
本縫いとも言われるこの縫製はとても美しいのですが、あまり強いカーブをつけては縫えないという点があります。
人間の身体に合わせるのであれば、本来は脇の下に沿うようにカーブをつけて縫う方が動かしやすくなる筈ですが、シャツは元々下着だったということもあってか、あまり気にしない方が多いと感じています。
(もちろん僕も気にしたことはありませんでした)
そこにロックミシンを使用することによって、より自由にアームホールの形を設計することができるようになります。
元ネタのシャツが持つ独特の丸い雰囲気はここからきているのだろうと、デザイナーとパタンナーとの話し合いで分かってきました。
そして
「このシルエットを再現するために、世間的にはネガティブなイメージもあるロックミシンを敢えて使おう」
という結論に至りました。
I decided to use an overlock sewing machine to achieve this silhouette.
「丸い」でつづきます。
Seki