SEE SEE
date: 2018.04.09 category: OTHER CITY author: SEKI
静岡の伝統工芸である「静岡挽物」を継承するブランドSEE SEEと出会ったのはParisに引っ越す直前、3年前の今頃でした。
伝統工芸というとちょっと堅苦しかったり日本推しすぎてあまり興味を持てなかった(それを紹介するのは自分の分野ではないという気持ちがあったという意味)のですが、SEE SEEは伝統工芸の技術を活かしながら、そこに新しい価値観を入れようとしているなと勝手に感銘を受け、それ以来とても気になっているブランドです。
Japanese traditional art? I couldn’t have been interested in. However 3 years ago, I’ve met an excellent brand SEE SEE who added some new spirit into tradition.
「静岡挽物って?」という方はホームページの紹介文を読んで頂くとして、代表的なのは胡椒を入れるこんな容器を誰しもが見た事あると思いますが、昔は静岡の職人が作ったものをアメリカに輸出していた時代があったようです。
他にも椅子やテーブルの足など、家具のパーツも輸出していたそうです。
僕たちがアメリカのものだと思っているものが日本から輸出されていたというのも興味深いですし、SEE SEEは日本の伝統工芸でありながら、作るものはどこかアメリカらしさを感じるものが多いというのもまた面白いです。
アメカジというファッションも日本人が作り上げたものが、その後アメリカを含め世界中に広まったのにも近い感じでしょうか。
そんな静岡挽物ですが、注文が増えるに従って機械化が進んだことにより、手作業で作れる職人が現在は少なくなっているとのこと。
そんな数少ない職人技術を見学したいと思い、先日の日本滞在中に静岡まで行ってきました。
静岡駅から車で1時間程走った山奥にあるアトリエ。
伝統工芸の職人というと勝手におじいちゃんを想像してしまいますが、出迎えてくれたのは30代の若き職人でした。
そもそも挽物とは、木材をろくろ(轆轤)や旋盤でひき、円形の器物をつくる技術です。
まずは機械にセットし、中心を出すようにハンマーで調整します。
そして回転させながらノミで削っていきます。
もうひとつ別の材料を削ってもらいます。
最初はこのように角張った棒状のパーツを回転させ、削っていきます。
動画を撮れば良かったですが、忘れていたのでGIFでご勘弁を。
別角度からも。
くびれ(?)が美しくできてきました。
最後にサンドペーパーをかけて仕上げていきます。
即興で作ってもらった一輪挿し。
とても美しい佇まい。
触ると本当に滑らかで気持ちが良い、木の温もりを感じる逸品です。
SEE SEEのラインナップを見ると、どれも完成度が高く、精密なため一見するとハンドメイドという感じがしません。
でもこうして作る行程を見ると、とても高い技術に支えられて出来上がっているのだということが分かります。
そしてこれは洋服にも言えるかもしれません。
今は安い服が世の中に溢れすぎて、興味がない人はそれを誰かが縫っていることすら想像できない事もあると聞きます。
高い服が良いとか、ハンドメイドが良いとか、決めつけるつもりはありませんが、僕は誰かが気持ちを込めて作ったものにお金を払いたいと考えていますし、そういった物の魅力を伝えていけたらなと思って、この仕事をしています。
と、話が逸れましたが、工房はずっと見ていても飽きない独特の雰囲気があります。
そしてやはり何かを作る為の道具は美しいです。
特に木を削るノミは職人自らが打って作るそうです。(鍛冶ですね)
これらも研いでいくと短くなるので色んな角度のものを用意しています。
刃の形や太さも様々です。
過去に作ったSEE SEEのアイテムも飾ってありました。
この日出来上がったばかりの新作もかなりユニーク。
今月末に東京でPARKSショップをまた10日間オープンするのですが、そこではこの新作に加え、いくつかのアイテムを取り扱う予定です。
I will open PARKS shop for 10 days in Tokyo at the end of this month. And you’ll find this new collection as well as some other items there.
こうして実際に作っているところを見ると、より欲しくなってしまうので困りものですが、日本に限らずなるべくいろんな場所に足を運んでいきたいなと思った月曜の夜(Parisは昼ですが)
Seki