昨日の投稿では現在の写真をご紹介しましたが、今日は日本で撮影しておいた新品の写真を。
第一弾はベジタンのブラックで、第二弾はクロムのブラウン、そして第三弾の今回はカンガルーレザーです。
カンガルーレザーは軽くて強度があるという理由から、昔はサッカーのスパイクなどスポーツシューズでよく使われていたようですが、僕のイメージではアシックスのバッシュですね。
当時はジョーダン7が出たばかりで、ナイキをはじめ時代的には少しずつハイテクなラインナップが各社から発売していた時期でしたが、その中でもアシックスはストイックなクラシックモデルがメインでした。
強豪校なんかはチームでお揃いのアシックスのジャパンLというモデルを履いていて、その上位モデルにポイントゲッターLという靴があったのです。(ちなみにLがハイカットで、Sがローカットだった気がします)
このポイントゲッターL、当時の定価で確か2万円代中盤だった記憶があり、その頃は2万円を超えるバッシュというのはあまりなく、しかもあんなに面白みのないデザイン(すみません)なのにめちゃくちゃ高い、ということで誰も実物は見たことがないのに有名なモデルだったのを覚えています。
そのポイントゲッターLに使われていたのがカンガルーレザーで、どうやらとても軽くて柔らかいらしい(でも誰も実物は履いたことがない)という存在でした。
中学生だった僕からしたら「カンガルーの革なの?!」という印象で、これは当時の多くの中学生にしても同じ気持ちだったのではないでしょうか。
時は流れ2022年。
premio gordoの戸松さんと次のBawaにどんな革を使おうかと打ち合わせをしていたところ「カンガルーもありますけど」と言われ、「え?あのポイントゲッターLの・・・」となったのは当然の流れ。
僕の中ではバッシュのイメージしかありませんでしたが、1930年代のカンガルーレザーを使った革靴の写真を見せてもらったところ、これがなかなか格好良い。
サンプルを作ってみると更に格好良いではないですか。
新品の状態でも独特のシワが入っていて、カーフとはまた違った魅力を感じます。
デザイナーの戸松さん曰く、カーフが優等生的な美しさだとしたら、カンガルーは田舎の優しい人の美しさ、なんて素敵な表現もありますが、なんとなく伝わるでしょうか。
革の表情が個性的なので、今までのBawaとは違ってコバを丸くしています。
この仕様によって全体の印象が大きく変わりました。
特徴的なシワと相まって、ほのかに香る色気。
丸コバですが、スリットウェルト付きなのでカジュアルな表情もキープしています。
まだ履いて数ヶ月ですが、これが本当に履きやすい。
カーフと比べて特別に軽いということはないですが、しなやかで足馴染みが良いのは確かです。
昔はクレープやビブラムなどラバーソールの革靴ばかり選んでいましたが、このBawaで使っているオイルを染み込ませたレザーソールはとても気に入っています。
あまり滑らないのと軽快さを両立しているので、とても歩きやすいんです。
ポイントゲッターLを雑誌で見てから30年、ようやく履くことになったカンガルーレザーとの付き合いが始まりました。
皆様、素敵な週末をお過ごしください。
Seki